「この世界には男と女がいる。そして男女は愛し合うことができる」
「いきなりなにさ」
「こんな体験はないかな? それまでずっと友だちだと思っていた異性が、ある日突然、恋の対象として変幻してしまう。あれ? こんなにカッコよかったっけ? とかさ」
「そこまではっきりはしてないけど、なんかいつの間にか気になってたりするもんだよね」
「それをいいかえると、君は愛の感情のもとに他人を捉え直していることになる。言っていること、わかるかな」
「意味不明」
「愛するという出来事は、一方に愛する主体がいて、他方に愛される対象がいるというものじゃない。愛する主体も、愛される対象も、愛するという感情が生まれたときにはじめて、その関係性のもとに顕現するんだ」
「なるほどね。それがない恋人たちもいるだろうけど」
「じゃあ、愛するという感情はどこから生まれてくるんだろう?」
「うーん・・・頼りになるから、一緒にいると楽しいから、とか」
「それはすなわち、自分との差異、自分にはないものを欲望しているということだよね」
「自分一人で満足しているなら、他人を求める必要はないよね」
「男と女というくくりで愛嬌とか度胸とか、受動的とか能動的とかがあるのではない。二人の人間に差異があったため、それらを男と女と呼ぶようになった。こういう対立概念は、僕らの世界を組織化するために無数にある」
「差異への欲望によって構造化された社会ってことか」
「僕らは欲望しつづけるように構造化されている。愛する女性を手に入れたくらいじゃそれは収まらない。いくら触れても、決して満たされることはない。だとすると、僕らはさらにその彼方を目指していることになる」
「その彼方って?」
「いまだ存在しないものだよ。触れると消えてしまうけれど、触れる直前までそこにあったように思えるもの。その、存在の仕方を目指している」
「いきなりなにさ」
「こんな体験はないかな? それまでずっと友だちだと思っていた異性が、ある日突然、恋の対象として変幻してしまう。あれ? こんなにカッコよかったっけ? とかさ」
「そこまではっきりはしてないけど、なんかいつの間にか気になってたりするもんだよね」
「それをいいかえると、君は愛の感情のもとに他人を捉え直していることになる。言っていること、わかるかな」
「意味不明」
「愛するという出来事は、一方に愛する主体がいて、他方に愛される対象がいるというものじゃない。愛する主体も、愛される対象も、愛するという感情が生まれたときにはじめて、その関係性のもとに顕現するんだ」
「なるほどね。それがない恋人たちもいるだろうけど」
「じゃあ、愛するという感情はどこから生まれてくるんだろう?」
「うーん・・・頼りになるから、一緒にいると楽しいから、とか」
「それはすなわち、自分との差異、自分にはないものを欲望しているということだよね」
「自分一人で満足しているなら、他人を求める必要はないよね」
「男と女というくくりで愛嬌とか度胸とか、受動的とか能動的とかがあるのではない。二人の人間に差異があったため、それらを男と女と呼ぶようになった。こういう対立概念は、僕らの世界を組織化するために無数にある」
「差異への欲望によって構造化された社会ってことか」
「僕らは欲望しつづけるように構造化されている。愛する女性を手に入れたくらいじゃそれは収まらない。いくら触れても、決して満たされることはない。だとすると、僕らはさらにその彼方を目指していることになる」
「その彼方って?」
「いまだ存在しないものだよ。触れると消えてしまうけれど、触れる直前までそこにあったように思えるもの。その、存在の仕方を目指している」
#
by blazeknight
| 2008-09-30 11:15
| 暗闇の焦燥、世界の受容